だから早く君だけの僕になれ

ジャニーズとハロプロ

渋谷すばるさんの退所に寄せて

 

渋谷すばるさん。

 

まずは21年間というとてつもなく長い間、ジャニーズ事務所でお仕事をしてくれてありがとう。関ジャニ∞の真ん中に、先頭に立ち続けてくれてありがとう。

21年、つまりわたしが生きたぶんだけ、すばるくんはジャニーズ事務所にいるのですね。21年、わたしみたいな平凡な人間が普通に生きるだけでも辛いこと、理不尽に泣きたくなること、諦めるしかないことに気付いて絶望したこと、たくさんあったのに。こんなに長い時間、ひとつの場所に身を置いて、きっと他より厳しい事務所に、雁字搦めにされたこともあったろうに。ただでさえ個の強いあなたが。

安田くんがこんなことを言っていたことを、今日思い出しました。

ルールはあったほうがいいと思うし、あったうえで遊ぶべきやと思う。ただ、ルールには少し余白があるというか…。例えば、破る人間がおったとしても、ある程度まではほったらかしてもいいんじゃないかって。多分、ホンマのルール違反はもうちょっと先にあって、そこを踏み越えそうになったら誰かが引き戻せばいい。ある意味、その余白の中で遊ぶんが、一番の遊び方なのかもしれへんなぁって。本当のルール違反を分かっている人だけしか、その線を飛び超えたらあかんけど。(中略)ルールって、それぞれ違うからね。友だち同士でも、会社によっても違う。だから今の環境でやりたいことができないなら、違うルールを持った環境に動いて自分のやりたいことを貫くのもありやと思うけどな。

ーTV GUIDE Alpha EPISODE I 

「型破り」とか「前代未聞」とか、そういう単語が似合う関ジャニ∞が大好きでした。安田くんの言う通り、関ジャニ∞はルールを破るのがとても上手だなあとわたしはいつも思っていました。いつもギリギリのラインでわたしをヒヤヒヤさせて、でもその度にカッケー!とも思わされた。

僕ら、普通のバンドではないですからね。ミュージシャンでも役者でもなく、ただ関ジャニ∞っていうジャニーズのアイドルなんですけど、

音楽と人 2017年8月号

なんか独特ですよね、アイドルって。特に日本はほんっとに独特で、すごくしんどい思いもしたことあるけど、それで生きてきた人間やから感謝は絶対あるし、誇りもプライドもあるんすけど。最近「すごいね、アイドルなのに」って言われたりして、アイドルをどんだけ下に見てんねんと(笑)。よう言うたな、ってすっごい思いますけど、

ミュージック・マガジン 特集 関ジャニ∞  2017年9月号

関ジャニ∞っていうアイドルやってます!」と叫んでくれたすばるくんが、「アイドル」に誰よりも拘ってくれてたすばるくんが、「アイドル」を舐めんなよという意思を見せてくれたすばるくんが。

アイドルを楽しんでくれているのだと思ってた。最近はカメラアピールが大好きだったよね。あざとくいつも同じ角度で黄色い声援を浴びては満足げにしていたね。みんなが踊る中ひとりダンスに手を抜くすばるくんのパフォーマンス、例えば今のサビの終わりで左右に飛ぶ振り付けとかは、あんまり好きになれなかったけど。でもいつもニコニコしてくれてたから。だから信じて疑ってなかった。

 

それでも「退所」、つまりアイドルを辞めるという選択をするしかなかったのならば。

退所以降、あなたがより生き易い世界に身を置くことができて、のびのびとやりたいことをやれることを、何よりも嬉しく思います。

 

 

グループで夢を見続けること、それは大前提である「それぞれの人生」をある程度否定することでもあります。

和田彩花(アンジュルム) 「皆さまへ」
https://ameblo.jp/angerme-ayakawada/entry-12366075751.html

4月5日、ハロー!プロジェクトのアイドル・アンジュルムのリーダーである和田彩花ちゃんがグループからの卒業を発表した際にこんなことを言っていました。

ようやく「それぞれの人生」と向き合う決意をした和田彩花ちゃんに、すばるくんの決断がなんだか少しだけ重なって見えます。

すばるくんは「それぞれの人生」をこっそり否定しながらグループで夢を見てきたはずで、でもすばるくんが「それぞれの人生」を選んだ4月15日、すばるくんが見てきたグループとしての夢は永遠に叶わないものになったわけで。

だから、お疲れ様でした。夢を叶えるのは難しいけれど、夢を諦めるのもまた同じように、いやもしかしたらそれ以上に難しいことだよね。ばしゃ馬さんとビッグマウスの映画の中で、夢の諦め方が分からないと、馬淵さんがボロボロに泣いていたけれど。花粉症で目薬をさしてから昨日の記者会見に臨んだすばるくんも、もしかしたらわたしたちの見えないところで、あのように涙を流したのかもしれないね。

アイドルとファンという関係は、誰よりも近いけれど、誰よりも遠いなとこういうときに思います。わたしがすばるくんに関して確実に知っていることは見た目だけで。あとは見たもの、聞いたもの自分の中で咀嚼して、頭の中で固めて作り上げた偶像(=idol)でしかない。もしかしたら、名前や生年月日だって本当は違うものなのかもしれないし、教えてくれた夢や目標も嘘だったのかもしれない。信じたいし、わたしは信じるけれど、わたしは彼の幼馴染じゃないから。彼の目を見るだけじゃ正直、本当のところは分からない。

 

しつこいほどに反対したと、或いは大好きすぎて何も言えなかったと、この日が来ないで欲しかったと、それでも背中を押すしかなかったと語るメンバーから見える絆に、安心したと同時に絶望した。メンバーはわたしたちのことを「エイター」と、有り余るほどの愛と親しみを込めて呼んでくれるけれど、所詮は蚊帳の外。すばるくんの退所は決定事項で、わたしたちはその決定事項の外側で、受け止めて、落ち込んだり、励まし合ったりすることしかできない。反対する権利は愚か、賛成する権利すら、わたしたちは持ち合わせていなかった。

 

わたしのたったひとりの自慢の推し・元モーニング娘。で、現在は女優さんとして快盗戦隊ルパンレンジャー VS警察戦隊パトレンジャーに出演している工藤遥ちゃん(とってもお顔が良いです)(これは宣伝です)が、後輩の卒業発表の際にこんなブログを書いていました。

ファンの皆さんも、いろんな思いがあると思います

ただ、一つ言いたいのは 彼女の人生で彼女の思いだから 時間がかかっても受け止めてあげて下さい

そこに救われる時って、めっっっちゃあるんだ

私も皆さんの優しさ、受け止めてくれた事に救われて、自信を持って歩き出せたんです。

工藤遥尾形春水ちゃん」
https://ameblo.jp/kudo--haruka/entry-12363791176.html 

だからわたしは、受け止めるよ。すばるくんの決断も、6人の決断も。時間がかかるかもしれないけど、お別れの場もないのにどうやって、って思うのも本音だけど、世界一愛おしいわたしの推しが言うので、受け止めます。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

すばるくんに、関ジャニ∞に出会ったのは、2015年冬の元気が出るライブでした。大学で知り合ったエイターの友人に東京ドーム公演が定価割れしていることを聞き、当時嵐担だったわたしはそれならばと、軽い冷やかしの気持ちで同じく嵐担の妹を誘い、学校帰りに身一つで乗り込みました。

 

間に合わせで買ったタンバリン型のペンライトと、"ばしゃ馬さんとビッグマウスを見たばかりだから"という理由で、丸山くんと見分ける自信もないのに購入してみた安田くんのうちわを握りしめ、妹と「エイトのグッズは可愛くて羨ましいね」と話しました。正面天井という見晴らしの良すぎる席について、咄嗟にセトリを確認しては1曲ずつ違法アプリでダウンロードしてみました。勝手に仕上がれのコールの練習をしてみたりして、「言えない!早い!ぜんぜん言えない!」「ちょ!こんなおっきい声でセトリバレしちゃ駄目!刺される!隣のオタクも初見かもしれないじゃん!刺されるよ!」「えっエイトコールのスピード感やば!みんな息継ぎいつしてるの!」と大はしゃぎして、とにかく本当に軽い気持ちで、あの幸せな空間に居合わせた。

 

 

軽率だった。

衝撃だった。

 

帰り道、話題は「渋谷すばるとは一体何者なのか」で持ちきりでした。

 

当時のわたしの渋谷すばるのイメージといえば、坊主だったりロン毛だったり、なんかぶっ飛んでて、強面で、いつもカメラにガン飛ばして歌う、いつも眉間に皺を寄せて叫ぶみたいに歌う、キラキラジャニーズにはとても順応できてない人 というもので。なんでジャニーズに居続けてるんだろう…なんでアイドルなんだろう…って、テレビ、主に歌番組で見かける度に思っていました。今思えばカウコンでキャッキャとはしゃいでる姿を何度も見ているはずなのに、正直あまり印象に残っていなかった。

 

だから愕然とした。

この人が関ジャニ∞になってくれて本当に良かったと、心の底から思った。

 

東京ドームの真ん中で、天井突き抜けちゃうんじゃないかってくらいに響く歌声を。細くて小さな身体で、ステージの上に踏ん張って。魂削るみたいにして。

かと思えば、次の瞬間には女装してパンツ見せびらかしてドーム中の笑いを掻っ攫って。

松原.のこと、過去も現在も何一つ知らなかったのに、ステージの隅で楽しそうに幸せそうに音楽を紡ぐ村上くんと渋谷さん。

 

関ジャニ∞の中心に見えた。すばるくんがいるから関ジャニ∞があるんだと思った。東京ドームの空気を、関ジャニ∞の空気を支配しているのはすばるくんだと思った。すばるくんは関ジャニ∞になるために生まれてきたのだと思った。

 

だから、こんなことになった今、6人の関ジャニ∞もだし、関ジャニ∞でない、ひとりの男としての渋谷すばるが、わたしにはちっとも想像できません。

 

わたしはドがつくほどの新規のオタクだから、売れない時代の苦悩も、フラフラ期の葛藤も、その他諸々もなにも知らなくて、だから、だけど。

 

なんか、すごく不思議な感じで。帰宅途中の電車でこっそり泣いて、帰宅後につけたジャムコンの映像に今度は声をあげて泣いて(ドエム)、そのままふて寝して、また起きたときに、夢ぎゃなかったことに落ち込んで腫れた目で更に泣いたけれど、まだいまいち実感がないというか、心が拒否してるだけかもしれないけど、なんか、悪い夢の中にいるみたいな気分で。

 

 

 

 

 

 

アイドルは永遠ではないと、何度も思い知ってはその度に反省するのに、わたしはまた懲りずに、存在しない永遠を過信してしまう。もっと会いに行けばよかった、もっと気持ちを伝えればよかった。例えばわたしがもっとお金を落とせば、意見をどこかに投稿すれば、ひとつひとつのお仕事に細かくリアクションをとれば、違う道が選択肢があったかもしれないのに。悔やんだって過去には戻れない。分かってるのに、学んだはずなのに、わたしはまた馬鹿みたいにすばるくんを好きになってから今日までの時間を悔やんでいる。アイドルというものを好きになってから何度も何度も唱えた「明日は我が身」という言葉を思い知るたびに、絶望する。
 

やわらかな空気が運ぶこの時間が 永遠に続けなんて願わないから せめてあと少しもう少しだけ

不確かな日々に潜んだ確かな今を 明日も明後日もずっと繋いでいこう いつか永遠と呼べるまで

関ジャニ∞/元気が出るSONG

これからの僕にとって大きな恋だと思うから 大切にするよ この一瞬を一生

そしていつか変わればいいのにな 一瞬が 永遠に…

錦戸亮(関ジャニ∞)/stereo

永遠なんてないよと牽制してもいい でも僕はね光ってみたい共に 例え一瞬だけでも

錦戸亮(NEWS)/code

錦戸亮ちゃんの「永遠」という単語の捉え方がすごく好きです。永遠って、きっと信じるものでなくて、願うものだよね。それでもって、本当は存在しない。

「一瞬」を繋いで、積み上げて、積み上げて、でもやっぱり、元気が出るSONGで歌ったみたいな時間を永遠と呼べる日は来なかったね。NEWSを脱退して関ジャニ∞に専念することを選んだ錦戸亮ちゃん。事務所やグループの制限があるから作りたいように曲が作れないというジレンマを打ち明けてくれた錦戸亮ちゃん。それでもやっぱりジャニーズ事務所に、関ジャニ∞にいてくれる錦戸亮ちゃんが、どうか彼の願う永遠を手に入れることができますように。

 

 

 

 

そして安田くんが心配だ。自宅での転倒。背中の打撲。数日間の入院。会見に出席できないほどの怪我なのか。それとも本当は精神的ななにかなのかな。心配になるほどに優しすぎる安田くんだけど、周りを頼って、温めあって、慰めあって、たくさん泣いて欲しい。

「どうせ死ぬまで一緒」だと思ってた。ふたりは「音楽」というもので固く結ばれている、運命共同体だと信じて疑っていなかった。だから「音楽」というものを理由に、別々の道を歩むことになるなんて、なんか、変な感じ。

 

 

 

 

 

関ジャニ∞は、すばるくんがいるから音楽に拘っているようにわたしの目には写っていたから。

「大倉のドラムがいちばん好き」と言ったすばるくんの後ろでドラムを叩くことが好きだった大倉くん。

それぞれ孤独だったろうに、隣に立って共にメインボーカルを務めた錦戸くん。

すばるくんに歌ってもらうために、すばるくんのキーに合わせて関ジャニ∞の楽曲を作った安田くん。

フラフラにすばるくんを取られまいと、ベースに必死になった丸山くん。

誰よりもすばるくんの歌声のファンである村上くん。

すばるくんと一緒に音楽を楽しみたくて、トランペットを始めた横山くん。

わたしにはこういう風に見えてたのに。この退所は、6人がすばるくんの音楽を支えた結果、すばるくんに音楽を存分に楽しませた結果なのだなあと思うと、悲しくてたまらない。より音楽を追求したくなってしまったすばるくん、ついに脱退という選択しかできなくなってしまったすばるくん。とんだ皮肉だ。

 

けどそれが人生だよね。すばるくんの人生はファンのものでもなければ関ジャニ∞のものでもなく、すばるくんのものでしかない。

 

 

 

発表、会見、お疲れ様でした。

あなたを好きになってから、毎日が幸せでした。友達が増えた。行動範囲が広がった。生きるうえでの楽しみのひとつになった。モチベーションだった。

きっとたくさんのジレンマを抱えていたろうに、ジャニーズ事務所の、関ジャニ∞渋谷すばるとして、マイクを握り続けてくれて、スポットライトを浴び続けてくれて本当にありがとう。

夢を押し付けてしまってごめんなさい。過度な期待を寄せてしまってごめんなさい。きっと重荷だったでしょう。でも、信じさせてくれて、信じることのできる笑顔を見せてくれて、歌声を届けてくれて、ありがとう。

わたしはきっと、明日も明後日も、その先も、時々泣きながら、物足りなさを感じながら、それでも関ジャニ∞を、そして渋谷すばるを好きでいます。

 

だから、どうかあなたらしく。

世界で一番に幸せになってください。

 

 

 

 

 

 

 

最後にこれだけは言わせて。

すばるくんが一人の男として、悔いなく素敵な人生を歩めますように。

 

あとすばるくんの美味しいソロパート、安田くんにください。